契約期間の決め方で注意しなければいけないのはどんなことですか。
期間が短すぎる場合と長すぎる場合とあるけど、どちらかというと、契約期間を長くしすぎて後悔することが多いようです。
契約期間の決め方次第で、自分の事業に想定以上の制約がかかることがある
契約期間とは、契約当事者が契約にしばられる期間です。契約書に書かれた権利を保持できる期間であり、義務を負っている期間でもあります。
契約期間の絡みであぶない契約になるかどうかは、契約書に定める権利義務の内容次第です。
特にそれが如実に表れる代表的なサンプルをいくつか見ていきましょう。
独占条項
あぶない条項のトップバッターは独占条項です。
A事例
本契約期間中、買主は、売主以外の第三者から、製品Aおよびその類似製品を購入してはならない。
B事例
本契約期間中、売主は、買主以外の第三者に対して、製品Bおよびその類似製品を販売してはならない。
A事例では、本製品と代替できる安価な製品が第三者から出たときに、買主はそれを買えないというあぶなさがあります。
B事例では、買主以外の第三者から本製品を契約価格の3倍の価格で買いたいというオファーがあっても断らなくてはならないというあぶなさがあります。
この手の条項で一番もめるのが、「類似製品」ってどこまでの範囲をいうのかという点です。本製品の仕様のうちでどこをどう変えたら類似製品に当たらなくなるのか、という点を契約締結前に徹底的に議論する必要があります。実際にことが起きてから議論しても絶対収集つきません。
市場の状況とか技術開発の動向と照らし合わせて、このような条項をいれることの是非と、入れる場合の契約期間について慎重に判断しないといけません。
価格、数量の固定
売買契約の事例で見ていきましょう。
C事例
本契約期間中、売主が買主に販売する製品Cの価格は〇〇円とする。
D事例
本契約期間中、売主は買主に、製品Dを、月間最低〇〇台以上供給しなければならない。
E事例
本契約期間中、買主は売主から製品Eを月間最低〇〇台以上購入しなければならない。
事例Cでは、契約価格が契約締結時点では有利な価格であったとしても、契約期間中に市場価格が変化したときには市場競争力のない価格で売買しなくてはならないというあぶなさがあります。
事例Dと事例Eでは、契約期間中の製品の市場供給量の変動に対応できないというあぶなさがあります。
契約締結当時の当事者間の友好関係も、契約期間中にほころびてくることもあり得るという、「ひねくれ思想」も必要です
大概の場合、契約締結時点では当事者間の関係は良好です。そしてその関係は長く続く、いや続いて欲しいと思いがちです。
そして、契約書もそういった期待をベースとして作成していきますので、後になって「あー、なんでこんな条項にしたんだろう」と後悔することになります。
誰しも蜜月は永久に続かないというのはわかっているのですが、契約当時の当事者は、気分が高揚しているのでそこを忘れてしまうもんです。
そして契約期間が長くなればなるほど、当初の友好関係がほころびる可能性も高まります。
また、市場など契約周辺の環境も変化していきます。
契約書を作成、審査する際は、
現在の友好関係が続くことを前提に作られた条項はないのか、
友好関係が崩れた時に足かせにならないようにはどういう規定にしたらいいのか、
というある意味ちょっとひねくれた視点で想像力を駆使して、条項の一つ一つを見ていく必要があります。
わかる。わかる。ビジネス経営の勘所の一つですね。
ちょっと冷静になる。当事者から離れた視線で考えるという感じですよね。