契約締結欄が不完全であぶない

あぶない契約書
どてらいさん
どてらいさん

締結欄ちゃんとハンコがありさえすれば大丈夫と思ってたのですが。

すぎやん
すぎやん

ま、そうなんですが、ちょっとしたリスクがあるときもあります。

ちょっと見て? この締結欄で大丈夫?

まず、下の契約書の捺印欄をご覧ください。何か違和感を感じられますか?

そうです。ここでは、株式会XYZ社の大坂氏の個人印しかないことがちょっとリスク含みです。

このままですと、将来両当事者間で争いごとが生じたときに、XYZ社が、
「その契約書は、背任行為により解雇した大坂氏が、会社の承諾なく締結したものであり、無効だ。」
と主張する余地
が生じるという危なさがあります。

もちろん実際には、表見代理という法律理論や、締結当時の大坂氏の役職等の事情によって判断されるところで、その主張が認められるかどうかは裁判所の判断次第ではありますが、いずれにしても主張できる余地があることには変わりありません。

一方の土寺井さんの捺印個所には、ABC産業株式会社の代表取締役の印が押してあります。
この場合、ABC産業株式会社として正式に契約の内容を確認して約束しことがで疑う余地はありません。

では、どうしたら良いのでしょうか。

すぎやんの法務実務経験の中でも、契約に個人印しか押していないことが時々ありました。

その場合、その人個人の行為ではなく、法人の行為として契約書にハンコを押したことを見た目に明らかにするために、「先方に社印(角印)を押してもらうようにしてください。」
とアドバイスしていました。

一般に社印(角印)は会社の責任ある部門や人が管理しているので、一個人が会社の意図と関係なく勝手に社印(角印)を押すことは考えにくいからです。

対応後の形は下のようになるはずです。

どてらいさん
どてらいさん

なるほど。将来のトラブルを避けるために、いまちょっとした手間をかけるわけですね。

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